大塚さんprofile

2013年11月9日 vol.5

大塚剛(Tsuyoshi Otsuka)

1981年生まれ 32歳
フリーランス美容師。
日本のみならず海外にも自身の活動拠点を置いている。将来の明確な目標を持ち、今後50年、100年続くことをしていきたいという。熱い想いを形にすべく常に行動する大塚さんの見据える将来像とは?!

描いている目標があって、これさえぶれなければ多少迂回することがあっても絶対辿り着けると思っています!

ただビジネスをやりたいわけではない、自分のやりたいことを形にするためにビジネスという手段をとり、今後展開するための努力と自己投資を続ける大塚さん。この先、目の前に壁が立っても、思い描いている夢には絶対辿り着けるという強い信念を持っており、失敗することは全く考えていないという。

フリーランスになっても付いてきて下さるお客様と、働く環境を提供して下さったオーナーに凄く感謝しています。

ーー お仕事はフリーランス美容師とのことで、どのような形態で仕事をされているのですか?

欧米のサロンでは一般的なのですが、フリーランスとして契約して現在のサロンに入っています。ある程度自分の顧客であるお客様ができてスキルもあって、独立しようと思っても資金面や活動範囲が制限されるリクスがあるので、そのリスク回避のために作られた仕組みだと思います。

ーー 確かに、いきなり店を構えるとなると資金が大変ですよね。

フリーランスとして既存のサロンと契約してやる方が、自分でブランディングや集客をやりつつ、歩合制というところも含めて、その先の展開が組み立てやすくなります。

ーー 最終的に店をもつための一つの過程としてフリーランスというポジションがあるのですか?

だいたいがそうですね。ただ僕の場合は、ちょっと違います。元々40人ぐらいスタッフがいるサロンにいたのですが、良くも悪くも様々なルールとか制約があり、それが時にすごく息苦しかったんですよ。
ただ、完璧に構築された教育システムによって、美容師としての基礎、大切なことを全て学ばせてもらいました。今でもとても感謝しています。

ーー 息苦しいというのは、自分のスタイルではやらせてもらえなかったということですか?

やってみたいことが色々あったし、お客様にもっと喜んでいただけるような取組みもしたかったのですが、そのサロンのルールで縛られていました。提供したいサービスや、やりたいことを幅広く出来なかったこともあって、フリーランスになろうと思いました。

ーー もともと美容師を目指されていたのですか?

高校時代、勉強がもの凄く嫌いで大学受験とか考えていなかったんです。となると手に職をつけてスペシャリストになる方がいいだろう!と思っていました。親父も職人なんです。シェフですが。親父の影響も少しはあったと思います。

ーー その頃から美容業界に興味をお持ちだったのですか?

いえ、ファッション業界に興味がありましたね。ただ、人とコミュニケーションをとることが好きだったので。

ーー ではコミュニケーションが好きということと、人を輝かせることをされたくて美容師を選んだんですか?

大塚さんインタビュー1

正直、高校生の頃だったんで、そこまで考えていなかったですけどね。笑

ーー そうですよね。笑 実際美容師になられて、思い描いていたものと違うと感じたところはありましたか?

そもそも特に思い描いているイメージっていうのがなかったんですよね。美容専門学校に入る前ぐらいにカリスマ美容師ブームがあって、テレビでも取り上げられて、世間的には華やかなイメージがかなりあったと思うんですが、そこに憧れを持っていたわけでもないですし。

ーー そういった意味ではしっかりと芯が通ってらっしゃったのかもしれませんね。フリーランスに転向される際に、思い止まったことはないのですか?リスクはいくつかありそうですが。

保証給がないことがリスクではありますが、思い止まることは何もなかったですね。やるしかない!と思っていましたし。もちろん、自分を指名して下さるお客様がいましたし、フリーランスに転向しても付いてきて下さるというのは、これまでの関係から感じていました。実際とてもありがたいことに8〜9割のお客様にまた来て頂けました。

ーー 信頼関係以外の何物でもないですね!

結構長い付き合いのお客様が多いんです。高校生の時から来て下さって、社会人になって、今は結婚されている方もいらっしゃいますよ!

ーー なるほど。フリーランスに転向されてから仕事に対する姿勢や考え方が変わったことはありますか?

フリーランスだとアシスタントがいないので、何人も同時進行することができません。その意味では予約をかなり制限しなくてはならず、お断りする予約も結構あるんです。それを理解して下さって、それでも来て下さるお客様もたくさんいらっしゃるので凄くありがたいです。フリーランスになってすぐにそれを実感して凄く感謝しています!
それから、基本的にマンツーマンで最初から最期まで施術しますので、今までアシスタントに任せていた仕事、気遣いなども全て自分でしますので、一瞬も気が抜けません。常に緊張感を持って、いかに満足度を上げるか考えています。

ーー それは嬉しいですよね。やっぱり信頼関係で繋がっているんですね!

カンボジアという国で一つの文化を構築したいな!
って気になったんです。

ーー 仕事ではカンボジアにも行かれていますよね?どんな活動をされているんですか?

カンボジアにサロンと美容学校をつくるために行っています。順番としてはまずはサロン、その次に学校ですね。

ーー それはいつ頃から始められたのですか?

去年の7月からですね。もともと東南アジアに美容室をつくりたいと思って動いていたんですけどね。東南アジアは、まず近いし、仏教の国で日本人との感覚も近いです。文化に対しての成熟度はまだ浅く、でも経済成長しています。経済面、地理面と文化面と様々な側面から考えて東南アジアだと考えていました。

ーー そもそもなぜ海外でやられようと思ったのですか?

色んな理由がありますが、日本で美容師をやっていて、15〜20年後どうなっているか分からないと思うんです。挙げればきりがないくらいに色んな問題を抱えていると思います、この日本という国は。そこ一本でやっていくことの方がリスクが高過ぎますので、海外に展開しておきたいと思っていました。
それに、せっかくフリーランスになったので、未知のものに対するフロンティアスピリッツが芽生えました。

ーー ご自身の軸をもう一つ作っておきたいということですね?

そうですね!

ーー 東南アジアの中でもカンボジアを選んだ理由は何ですか?

大塚さんインタビュー2

カンボジアでエステサロンを展開している社長を紹介していただく機会があって、その方の紹介もあって、カンボジアに行ってみることになったんです。話を聞いた3週間後には現地に行ってました! 一度行ってみないと分からないということで、とりあえず行きました。
で、最終的にカンボジアを選んだ理由は・・・これは行かないと分からないと思います。カンボジアという国の熱気にやられたんだと思います!そしてカンボジアでのたくさんの人達との出会い。これがすごく大きいです。

ーー 現地の人々の熱気ですか?!

その国を包み込んでいる空気全体ですね。そんな空気感の中で、色んな人と交流があって、あの国で一つの文化を構築したいな!って気になりました!理屈では説明できません。

ーー なるほど、ビジネス面での優位性とかそういった話でもないと?!

海外でのビジネスって、どこの国でやったら簡単にいくとか、そういうのはないと思いますし、そういった感覚でやっているわけではないですね!

ーー 大塚さんご自身がカンボジアに行かれるのですか?

カンボジアで技術指導する大塚さん。写真からも大塚さんと現地の方の真剣度が伺える。

カンボジアで技術指導する大塚さん。写真からも大塚さんと現地の方の真剣度が伺える。

今3ヶ月に一回行っています。まずは現地の日本人のお客様に喜んでいただく。それを繰り返して現地での認知度を上げるとともに、日本の美容のクオリティとか素晴らしいサービスを広げていきたいんです!最終的には僕がやる会社から派遣するのではなく、現地での法人化の土台作りをしてそこでビジネスとして提携できればと思っていますね。

ーー 実際に行かれて、現地の人の反応はどうですか?

真剣に僕の仕事を見ています。それにとても一生懸命手伝ってくれるので、とても助かっています。いい関係が築けていると思っています。親切なオーナーさんにも感謝しています。

ーー 日本の文化はどうでしょうか?浸透していますか?

日本はまだ弱いですね。ただ、日本ブランドに対する信頼はとても強いです。憧れもあります。水道などのインフラ整備や、道路、架橋工事、教育、医療、様々な日本のODA(政府開発援助)が入っています。家電製品や自動車も日本製が一番人気です。寿司も人気があります。
しかし、美容やファッションにおいて、日本のトレンドを押し付けようとは思っていません。カンボジアに限らず誰に対してもそうなんですが、押し付けたくはないんですよ。一緒に創り上げていきたいと思っています。

描いている目標があって、これさえぶれなければ
多少迂回することがあっても絶対辿り着けると思っています!

ーー 経営という面では、これから多くのことを学ぶ必要があると思うんですが、その辺についてはどうですか?

そんなの全然できないですよ、だから今勉強しているところです!

ーー 特に海外ともなると多くのことを勉強する必要がありそうですね。「難しい」とか「本当にやれるのかな」とか、不安で壁を作ってしまいそうですが、特にそういうことはないのですか?

いや、できるんじゃないんですかね?!できると思っていますよ!ただ、色々失敗はすると思います。でもできると思っています。尊敬できる経営者の方から勉強させて頂いています。

ーー ではそこに対しての壁はないのですね。やりたいからやってしまえという感覚ですか?

いや、正直壁というのはたくさんあると思いますが、僕が描いている目標があって、これさえぶれなければ多少迂回することがあっても絶対辿り着けると思っています!それに関しては失敗することは全く考えていないです!達成するのがちょっと早いかちょっと遅いかぐらいにしか考えていません。

ーー なるほど!では多少の迂回はあってもそこで挫折することはないということですね。

今までも、普通こんなことあったら辞めちゃうだろうなってことがいくつかあったんですけど、続けてきましたし。

ーー 例えばどんなことですか?一つ教えて頂けませんか?

現地の美容院を経営している人と仲良くなって、今年の4月から一人日本人の美容師を常駐させていたんですね。そのサロンでフリーランスとして働かせてもらい、日本人のお客様を中心にサービスをしていたんです。
しかし、6月にその美容師とサロン経営者とトラブルがあって、そのスタッフが追い出されたことがあって・・・。僕に関してはまだ仲良くして頂いているんですが、そのスタッフが辞めることになったので、また一から始めなきゃ行けない。

ーー 今まで積み上げてきたものがなくなってしまったんですね。

その面に関しては、一端リセットですね。

ーー それでも常に前進されているのですね。ところで、ご自身の軸があると仰っていましたが、軸を形成する時期に誰かに影響されたことはありますか?

そうですね、先ほど話に出てきましたカンボジアでエステサロンを経営している社長ですね。

ーー どういうところで影響されましたか?

経営者としてのマネジメントとか人としての生き方の部分ですね。人間として素直に尊敬できます!その方も多くの目標を持っているのですが、それに向かって構築している姿をみると自分ももっとできるんじゃないか!って思うんですよ。

ーー 身近にそういう人がいるといいですよね。理想像というか。

勉強させて頂いて、自分ブランドを高めていきたいなって思いますね。

大塚さんインタビュー3

やっぱり味方がいないと辛いですよ!
どんなに強がっても一人じゃ何もできないので。

ーー 今後ですが、今の目標を達成されるために必要なものはなんですか?

今一番必要なものは、現地でしっかり任せられる人間ですね。 本当に大切なのは、僕の目標に賛同してくれる人です。 一緒に、描いた目標に進んでいけるような人です!その為には何でもします。

ーー 一緒にやるなら、熱い想いを共有できる人がいいですよね。

自分の生活は基本的に日本での仕事でまかなっていけば良いと思っています。なのでカンボジアの事業でマージンをとって稼ごうと思っていません。現地で美容師がのびのびとやって、なんというか、ただサロンをやるだけではなくて、サロンを発展させるために尽力する、そんな環境にしたいんです。僕が手に入れたいのはお金ではなく、お金はあくまで手段の一つです。

ーー なるほど。

サロン自体を運営してもらって、日本の美容技術の素晴らしさをカンボジアの若い人に体験してもらったら、次は学校です。

ーー 文化をカンボジアで広めていく仕組みをつくりたいという想いなんですね。

そうですね。カンボジアってどんな国か、知っていますか?

ーー いえ、海外は中国にしか行ったことがなくて。

僕自身も偉そうなこと言えるほど詳しくはありませんが、カンボジアに平和が訪れたのはつい20数年前なんですよ。政治の汚職や格差もまだまだあります。貧しい人は人生設計もなく、売春などのその日暮らしで生きています。それでも中には、美容で生きていきたいって人は多くいます。
でも美容において、カンボジアという国でこれまでに構築されたものは何もないんですよね。美容文化の土台になるものを一から創りあげて行きたいなと思うんです。先行きも分からないまま、ただ生きているのではなく、しっかりした未来像を示したいです!

ーー 日本の文化を入れるってところだけではなく、夢を与えるようなことをされたいのですね。

どんな局面でもそうなんですけど、絶対信頼できるものって一つしかなくて、自分の腕だけです。他のものは明日どうなるか分からない。でも自分が積み重ねてきた技術は絶対自分を裏切らないと思っていますし、実際にそうなんです。
そういった自分の誇れる技術とかそれを使ってお客様に喜んでもらう、そういう喜びや美容師として生きていくっていう素晴らしい未来像をカンボジアの若者に選択肢として提供したいんです!こんな生き方もあるということを。

素晴らしい未来像を選択肢として提供したい、と大塚さんは活動を続ける。

素晴らしい未来像を選択肢として提供したい、と大塚さんは活動を続ける。

ーー 極端な話、ご自身がカンボジアに移住されることも考えれますか?

いえ、東京で、第一線でやりながらオンタイムでカンボジアに技術やサービスを提供することが大きな役割だと思っています!常に最先端の情報を届ける架け橋でありたいと考えています。

ーー 話を聞かせて頂いて思いましたが、日本の文化を届けたいという枠を超えて、希望を与えたいという域に達しているのは凄いです。カンボジアだったからこそなんでしょうか?

いや、それはまた違うと思います。カンボジアって、まだ国民が可哀想なイメージが世間一般的にあるじゃないですか。でも僕はそういう感覚でもないんです。慈善活動をやっているわけでもなければお金儲けをしに行っているわけでもないんです。

ーー なるほど。

学校を創りたいと言って寄付を求めることは今もこの先もないと思います。ボランティアで行きたいっていう美容師は受け入れたいと思いますし、そういう交流のプラットフォームにもなれたら、とは思いますが。

ーー ボランティアで行かれる美容師さんはいらっしゃるみたいですね。

孤児院とかでも、髪を切ってあげている人もいますが、でも一番その子のためになるのは技術指導だと思うんです。髪を切ってあげている人を否定しているわけではありません。素晴らしい行為だと思います。
ただ、僕だったらもっと違う形でやりたいんです。自費で行って技術指導をしている人もいますが、それも単発になりがちです。

ーー 継続性はないということですよね。

そう、だったら僕はそこで全部創りあげたい!本当に価値あるもの、必要なもの、感謝されるもの、指示されるものって何かっていうのを考えています。

ーー そうですね、学校を創って、そこで学んだ人がまた広めて行くのが一番価値を広められる方法かもしれません。

そうです。卒業生の就職や、独立のバックアップもしたいと考えています。僕がこれから創る学校で学んだことが、彼らの美容師としてのステータスになるように。
素晴らしいこと・・・って自分で言っちゃうんですが、それを継続する土台をつくっていかないといけない。10、50、100年と続くように!そうじゃないと無責任ですし。

ーー 継続していくことに意味があるビジネスですよね。

日本の文化をウリにしたビジネスってよくあると思うんですが、中途半端なことをして、日本の文化に傷をつけて欲しくないんですよね。海外って場所によっては参入もし易いし、あまり下調べせずに行ってしまう人もいるみたいです。

ーー 想いがあるビジネスの方がいいですよね!でも、しっかりしたものをやるにはそれなりに準備やら必要なものが多いです。難しい部分もありますよね。

それはもう決意ですよね!覚悟です!3ヶ月に一回カンボジアに行っていますが、僕が一回出張すると、宿、飲食、渡航費と、やっぱりだいぶ赤字にはなるんですよ。でもそれは投資だと思っていますし、それ以上の経験というものを手に入れています。現地で向こうの人の話を聞いて、実績も積んでいった方が絶対上手くいくと思います。
そうやった方がいいよってカンボジアに行くきっかけを与えて下さった社長からも言われました。繰り返しカンボジアに行っていますが、確かにそうだなと思っています。やっぱり味方がいないと辛いですよ!どんなに強がっても一人じゃ何もできないので。

ーー 僕は性格的になんでも一人でやりたくなるタイプです。でもやっぱり、それはできないなって思います。仲間は大事だなと凄く思います。だから最近は素直に頼るところは頼りますね。助けて!って。笑

一人じゃ何もできないってのは痛感するところは結構ありますよ。この後、海外で仕事をしたい美容師を集めたセミナーがあります。そこで良い知り合いができたり、海外のまだ知らない話を聞けたらと思っています。本当に仲間が欲しいですね!

ーー 確かにそうですね。同じ志をもっている仲間を増やして行きたいですね。今日はありがとうございました!

取材の中盤からカンボジアの話になりましたが、本当に夢を熱く語る方だと思いながら取材をしていました。単なるビジネスでもなければ慈善活動でもない、大塚さんがカンボジアという国で感じたという“熱気”が、そのなんとも言えない高鳴る想いを突き動かしているのかもしれません。美容師という姿は、普段街を歩いていてもガラス越しによく目にしますが、そんな中にこんなにも大きな夢を持ち、それに向かって走っている方がいるのだと思うと、もの凄く勇気になると同時に、僕はもっともっと色んな人に話を聞きたいと思いました。

 
interview list


コンセプト
これからの時代、共感という言葉が人々をつなぐ一つのキーワードになると考えています。人として生き方や価値観に共感できる人たちと一緒にビジネスをしたい、そういう人たちのサービスを使いたいと思う人がより増えてくることでしょう。
当メディアでは、どんな人生観をもった人がどんな想いで、サービスを提供しているのか、そんな観点から取材をし、記事にまとめています。