ウェアラブルトランシーバー“BONX”でアウトドアスポーツに新しいコミュニケーションを
株式会社BONX
BONXは遊びを最高に面白くするプロダクトを作って、みんなが生まれ持った遊び心を育み、世界を自由な遊び場に変える。
代表取締役CEOの宮坂 貴大さんに話を伺った。
ー 御社はどのような会社ですか?
BONXというウェアラブルトランシーバーを作っているハードウェアスタートアップ企業です。
BONXがあることで、スノボとか自転車のように仲間とのコミュニケーションが取りにくいアウトドアスポーツなどにおいても、簡単にコミュニケーションを取ることができるようになります。
ー 開発されたのはいつ頃ですか?
会社を立ち上げたのが、2014年の11月で、そこから開発を本格的に始め、
昨年、国内でクラウドファンディングをやってその支援者向けに年末から出荷を開始しました。
ー 現在一般発売はしていますか?
一般発売は2016年の秋からになります。
現在は、皆さんからいただいたフィードバックをもとに改良をしているところです。
ー 実際にユーザーからのフィードバックをもらってどうですか?
良いところも悪いところもありますが、そこは一度クラウドファンディングをやって意見をいただけて良かったです。
あとはBONXファンで居続けていただけるようにカスタマーケアおよび製品の改良を続けていくことをやっていきたいですね。
ー そもそもこのBONXのアイデアを思いついたきっかけは何だったのですか?
僕自身がスノーボードが好きで、「こういうのがあったらいいけど意外とないよね」みたいな想いから出来ました。
スノーボードをやっていると、技を決められたときなど、滑りながら普通に話せたらすごくいいのにというシチュエーションがたくさんありますが、
それを実現するプロダクトが世の中にはなかったんですよね。
ー なるほどですね。ところで性能はどうでしょうか?通信できる距離なんかは非常に重要かと思いますが。
携帯の3Gとか4Gとかそういった電波を使っているので、距離は関係ありません。
電波さえ入っていればOKで、極端な話ですが一人が日本のどこか山頂にいてもう一人がブラジルにいても問題はなく使用できます。
トランシーバーなんかだと距離に制限がありますし、特に日本は電波法が厳しいのですが、BONXではそういった距離による制限はありません。
ー アウトドアスポーツで使うとなれば、使い勝手がより求められそうですが、何かポイントはありますか?
そうですね、僕らがこだわったのは、話し始めるときの手間をなくすことです。
トランシーバーだとボタンを押すことで会話ができるようになりますが、もっとスムーズに、まさに滑っている最中とかに会話したいと思いました。
技術的には、電話とかスカイプみたいな方法はありますが、ずっと繋ぎっぱなしなのもありえないですよね。
バッテリーも浪費しますし、それにそもそもずっと耳元で何か聞こえているのもうるさく感じます。

なので、話したときだけ自動的に通話をする仕組みにしたくて、発話検知というテクノロジーにいき着きました。
これは、人の声の特徴的な波形を感知し、人の声を検知した際にのみ通信を開始するというテクノロジーです。
補足情報
BONXの性能を簡単にまとめると以下の通り。
・専用スマートフォンアプリとBluetoothデュアルモードで接続
・話しているときだけ通信する独自のグループ同時通話システム(10人同時通話可能)
・電波の弱い環境での切断や遅延を抑制
・あなたの声を検知して自動で通信する完全ハンズフリーモードを搭載
・携帯電波を使うため通信距離の制限は一切なし
・デュアルマイク搭載でマルチレイヤーでの騒音・風切り音対策によるクリアな音声を実現
・水や衝撃に強く、快適な装着性で長く使える(防水性能はIPX4相当)
ー 非常に技術が必要なプロダクトですよね。人の力を借りる必要があると思いますが、どうやって実現されたのですか?
僕自身は波形と言われてもよくわからないぐらいの超文系人間ですが(笑)、
このあたりはできる人を見つけてやっていただくしかありません。
そのために、こちらが持っていないといけないのが、まずはビジョン、そしてもう一つ重要なのは、丸投げにしない姿勢だと思っています。

丸投げしない姿勢というのは、「こういうことをやりたいけどやってくれない?」という姿勢では相手にしてもらえず、
「自分で頑張ったんですけどどうにもなりません」というスタンスがないと誰も手伝ってくれません。
ですから、僕も音とか波形については、わからないながらも勉強はしました。
もちろん、結局、最終的には誰かに頼むのですが。
ー アイデアを思いついてからどういう行動を取られたのですか?
まずは調査ですよね。
同じようなものがないのか、ない場合はなぜそれが世の中にないのかを探りました。
探ってみて、ない理由が技術的に無理なものであればそもそも無理ですし。

基本的にビジネスのチャンスというのは、世の中の環境が変わっていく中で何かが技術的に可能になって、でもまだ誰もやっていないようなところにあると思います。そのときに、“だったら自分が先にやろう”と考えられるかどうか。

僕らは、モバイルインターネットはどこでもできるようになったとか、スキー場でも電波が入るようになったとか、スマートフォンを皆が持つようになったとか、そういう世の中の環境の変化をみて、これはできる、チャンスだと思いました。
ー では競合はいないのでしょうか?
ドンピシャで競合はいなかったですね。
っぽいのはいましたが。スカイプはある意味同じようなことができますし、ブルーツースヘッドセットとかでしたら作っているメーカーはたくさんあります。
とはいえアウトドアスポーツでの活用においてはやはりBONXの競合はいませんでしたが。
ー 開発体制はどうされたのですか?
僕らみたいなハードウェアスタートアップは、ハードウェアとソフトウェアどちらも欠かせないので大変なんですよね。
両方においてつくる体制を整えていかないといけません。
ソフトウェアについてはまずはエンジニアを集めるところからやりますが、なかなか良いエンジニアを見つけるのも大変です。
BONXって意外と難しいでんすよね。
スカイプを一から作っているようなものなので。
まずはそういう技術がある人を探す必要がありますし、そのためにはそういう技術力がある人たちが集まるネットワークのようなところに入り込んだりしましたね。
逆に優秀な人が入ってくれると、ある程度自分たちでやってくれるので助かります。
ー ハードウェアの方はどうでしょうか?
ハードウェアはというと、開発のフェーズを一回回すのに時間がかかるんですよね。
そもそも開発スタートまでに工場探しが必要だったりもします。
僕らは中国で作っているのですが、下請けに投げればやってくれるというものでもありません。
僕らもそんなにお金がないベンチャーですし、向こうもそれなりにコミットしてくれています。
やっていることも実績がないプロダクトですが、そこに向こうも魅力と夢を感じてくれてやってくれているので、そういう意味では、まずは人間関係を作るところから始めないといけません。
ですから、実際にデザイナーとかエンジニアと現地まで足を運んだりします。
ー 中国の人との価値観の違いが開発の壁になったりはしませんか?
それはありましたね。
中国の方に関しては、まず良いところは、ものすごく積極的に“やってみよう”という姿勢があるところです。
ただ、出荷品質に対するこだわり度が日本人とはどうしても違います。
例えば、フタ一つの締り具合についても、こちらが求めている基準がなかなか伝わらなかったりしますので、その辺りは苦労しました。
ー 日本人は几帳面ですからね。今後の展開について教えて下さい。
この改良を終わらせて、2016年の秋に一般販売を開始します。
その前にグローバルにクラウドファンディングやろうと思っています。
アメリカのクラウドファンディングサイトを使って広く世界に発信していきますよ。
ー お話をお伺いして、こういったプロダクト系のプロジェクトを進めていく上で仲間を集めることの重要性を改めて感じました。何か仲間を集める上で心がけていることはありますか?
そうですね、うちに入ってくれた人が、仕事を通してその人自身のやりたいことも達成できればいいですし、
それがチームにとっても良い影響をもたらすものであればいいなと思います。
そこのマッチングを見誤らない、そこだけかなと思います。
そうやって最終的に組織として最大限のアウトプットを出せたらいいなと思っています。
ー それは理念の共有によって可能となるのでしょうか?
理念は一つ大事ですよね。
実現したい世界に共鳴していて、あとはノリとかバイブスとか、そういった日頃接している中での雰囲気が合うというのも大事ですね。
それからスキル面においても、一人一人やりたいこととかありますよね、10年後どうしたいとか、この3年間で特定のスキルを伸ばしたいとか、
そういうところがマッチしているかですよね。
ー 一回会って話したらわかるものでもないと思いますが、どうやって仲間を増やしているのですか?
試用期間がうちは長くて、半年間あるんですよね。
チーム作りの第一歩として、誰をいれるかはものすごく重要です。
試用期間を一律で、設けて実際に仕事をしていただいてから最終的にジョインするかどうかを決めます。
これはお互いにとっての試用期間ですね。
ー 職場の雰囲気などについて心がけていることはありますか?
職場は、働く場所である以上に、人間関係を作る場所ですよね。
すごく長い時間そこにいるわけですし、そこにいるのが本当に“仲間”という感じだったらすごく楽しいと思います。
月曜行って嫌な上司に顔合わせるのではなく、
「この間釣り行ってさ、すげーのが釣れてさ」
「え、どこ行ったの?今度一緒に行こうぜ」
みたいなそういう仲間で集まっている感じにしたいと思ってやってきましたし、
今結構そういう雰囲気にもなってきています。
ー 実際何か具体的な環境づくりみたいのはされているのですか?
そういった意味では、オフィスの近くにスケートパークがあって、昼休みとかちょこちょこ行ってやったりするのですが、
そういうことができるのでそこにオフィスを置きました。

スノーボードとか、釣りとかも皆で行ったりしますしね。
うちは「そういうところで遊んで楽しい、そしてそこにBONXがあったらもっと楽しいよね」という会社です。

飲み会とかやってもすごいバカな人が本当に多いのですが、、でも仕事になると、ものすごくプロフェッショナルです。採用においてもそういう人は結構意識して採っていますね。
ー 今日はありがとうございました。

  • 株式会社BONX
  • 代表取締役CEO
  • 宮坂 貴大 (Takahiro Miyasaka)
【インタビュアーから見た印象】
非常に落ち着いた立ち振る舞いをされる方で、私は初対面でも壁を感じることなくフラットな感じいることができた。
聞けば経歴は大変優秀な方なのだが、とくに角のある高尚な感じはなく、とても接しやす方である。
記事の中でも書いてあるが、商品開発の過程などにおいても、相手に丸投げというスタンスはなく、あくまでも人間関係という土台の上に全てが成り立っているという認識を持たれている方で、宮坂さんの人となりを感じるポイントでもあった。